44. 2016年の目標

みなさまお久しぶりです。このブログも更新が滞っていましたが、全く書くのを止めたというわけではなく、時間を見つけてぼちぼち書いていこうと思っています。

今回は、今年初めての投稿ですので、今年の目標について書いてみたいと思います。

まずは昨年の目標の評価からです。昨年は、業務の簡素化を進め、講演や総説の執筆といった外部の仕事をできる限り減らし、施設長として管理業務に注力することを目標としました。その目標はおおむね達成できたと思います。どうしてもお断りすることが難しいいくつかの講演や総説の執筆はお受けしましたが、例年に比べ、数はかなり少なくすることができました。そして、管理職ミーティングと事務職員とのミーティングを毎週行うようにしたことで、管理職として施設の状況を把握しやすくなり、職員へのフィードバックも以前よりきめ細かく行うことができるようになったと思います。ただし、常勤医師が私一名という体制のためもあり、方針や決定事項、フィードバックなどがトップダウンの一方通行になりやすいところがあります。各職員とも定期的に面接を行うなどして私自身も現場からのフィードバックを直接受けられるように心がけてはいますが、今年はここが一つのポイントになると考えています。

また、外部機関との連携を強め、診療所の初診の待機期間の延長を実質的に短縮するための取り組みを行いました。この地域における当診療所の特徴は、他施設と比較してリハビリテーションのスタッフが充実していることです。しかし、私の診察がボトルネックになり、リハビリテーションの利用開始年齢が遅れてしまうことが問題でした。そのため、昨年からは他施設で診断を担当されている医師に当診療所での外来を担当していただき、ご自身の施設で診断された方をご自身に紹介する形で、私を通さずにリハビリテーションの処方を直接行っていただくこととしました。いってみれば、オープン診療所方式です。このことにより、私自身の診療時間は減りましたが、地域全体で見ると診断からリハビリテーションの利用開始までの期間をかなり短縮することができたと思います。ただし、他施設でも受診までの待機期間が次第に延長してきていることから、今後は地域全体としてこの問題に取り組んでいく必要が出てきました。

これらの状況をふまえ、今年の目標の一つは、職員の自立性を高めることを目標に、管理職やそれに準じる立場の職員を増やし、権限委譲を行っていきたいと思っています。私の欠点の一つは、業務を自分で抱え込んでしまう傾向が強いところです。これは、職員の自立性という意味でも、私自身の負担の大きさという点でも決して望ましいことではありません。意思決定がトップダウンになりすぎると発想の幅も限定的になりますし、潜在的な問題にも気づきにくくなり、リスクマネジメントの立場からも不利です。各職員が自立的に行うことのできる業務範囲を広げ、私自身は各職員の目標設定と結果のフィードバックに注力していきます。

そのためにまず行うべきことは、私が現在行っている業務を、私でなければできないこと、私でなくてもできること(または私以外の職員が行った方がよいこと)に分類することです。そのうえで、各職員とコミュニケーションを取りながら役割分担をし直し、場合によっては職員配置の見直しも法人へ提案していきます。

もう一つの目標は、受診待機期間の問題の軽減です。そのために、今年は他医療機関との役割分担の明確化を探っていきたいと思います。当診療所の強み、他医療機関の強みはそれぞれ違います。お互いの強みを生かした役割分担を進めることによって、医療資源の浪費を防ぎ、地域全体としてより待機期間が短くなるように連携していきます。幸い、この地域には「道南発達障がいを考える会」という小児科医を中心とする集まりがあり、発達診療を行っている小児科医、精神科医をはじめ、市中病院の医師、開業医に加え、看護師、保育士、心理士など幅広い職種が集まって定期的に勉強会を開いています。発達診療を行っている医師が一堂に会する機会にもなっていることから、今年はこの会を活用して役割分担の基礎づくりを進めていきたいと考えています。

最後に長期的なビジョンについても触れておきます。現在の道南地区は、こと発達診療に関しては、小規模の医療機関がバラバラに診療を行っているのが実態です。本来であれば、基幹施設に診断機能やリハビリテーションといった医療資源を集中させた方が、医療資源の活用という面からも経営という面からも効率的で、医療や支援のレベル向上や人材育成という面でも有利です。一朝一夕にできることではありませんが、将来的には地域の中に基幹施設を育てる方向で考えるべきでしょう。今年は、その実現に向けて私自身に何ができるのか模索していきたいと思っています。

函館で発達にかかわる診療をしている医師です。

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