私には、療育センターおよび併設の診療所の施設長という立場と、診療所の一医師という立場があります。私の役割は、この二つの立場から、おしま地域療育センターのミッションを実現していくことです。そのために、私もおしま地域療育センターのミッションステートメントを基礎にした、自分自身の職業人としてのミッション・ステートメントを策定しています。
ミッション・ステートメントはあくまでも抽象的な指針を示したものにすぎません。しかし、私の具体的な行動目標はすべてこのミッション・ステートメントが元になっています。
今回は、この私のミッション・ステートメントをご紹介します。これは決して不変のものではなく、組織のミッションの変化や周囲の状況の変化によって変わり得るものです。私自身がこの二つの立場からよりよく機能していくために、内容について、そして私自身がこのミッション・ステートメントに沿って行動しているかどうかについて、みなさまからのご意見やご批判なども歓迎いたします。
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<私のミッション・ステートメント>
【I. 所長として】
A. 利用される方々とご家族に信頼していただける施設づくり
- 利用される方々とご家族の多面的なニーズの把握に努めます。
- ニーズに対するサービスの提供、またはその検討に責任を持ちます。
- 施設内だけでは提供できないサービスについては、地域の資源と積極的に連携します。また、連携の体制づくりに責任を持ちます。
- 利用される方々の特性の把握と、それに応じた安心できる環境づくりに対して責任を持ちます。
- 利用される方々とご家族からの声を拾い上げることに努め、それに対応することに対して責任を持ちます。
- 自らとすべての職員が、利用される方々すべてに敬意と共感を持って対応できるよう、その行動に責任を持ちます。
B. 職員のエンパワメントと支援技術の向上
職員一人ひとりを貴重な資源と考え、その長所を生かし、力を発揮できるように、次のことを行います。
- 職員の長所や特徴を把握し、適切な目標を設定するための援助を行います。
- 職員の業務の達成度を把握し、適切な評価とフィードバックを行います。
- 職員の身体的・精神的な健康状態を把握し、健康の維持・改善に責任を持ちます。
- 職員からの声に積極的に耳を傾け、現場の状況の把握に努めると同時に、改善が必要な点については職員とともに考え、その実行に責任を持ちます。
- 職員の専門的かつ全人的な支援技術を向上させるために、研修の機会を充実させます。
C. 安全な環境の確保
利用される方々および職員の重大事故を防ぐ安全な環境づくりに責任を持ちます。
D. サポーターづくりと広報
侑愛会の他の施設や地域の資源からも信頼される施設になるよう、関係諸機関との連携を円滑に進めることに責任を持ちます。また、できるだけ多くの地域の方々に療育センターの活動内容や課題について知っていただきサポーターになっていただけるよう、積極的な広報活動を企画し、実行します。
E. 地域のニーズの把握と関係機関との連携
療育センターを利用されていない方々を含め、地域のニーズの全体像の把握と道南地域全体で対応していくための体制づくりに関して、関係諸機関と連携し、リーダーシップを発揮します。
F. 経営の安定
安定的に継続的な経営ができるよう、財務状況の把握と職員への周知を行い、侑愛会本部とも連携しながら適切な状況とするための努力を行います。
【II. 常勤医師として】
A. 発達に心配な点を持つ子どもや大人への対応
医師として、ご本人およびご家族に対し、次の医療サービスを提供します。
- 医学的診断を希望される場合、または医学的診断が望ましい場合には、客観的な根拠に基づく適切な診断を行います。
- 診断の有無にかかわらず、必要な対応については、短期的、中期的、長期的視点から提案を行い、施設内外の資源を活用して、必要なサービスの提供に努めます。また、自らが行うことが適切である医療行為については、責任を持って対応します。
- ご本人やご家族が、診断や対応など必要な情報を十分に理解できるよう、丁寧で分かりやすい説明に努めます。
- 施設内の担当職員や、かかわりのある地域の機関との連携を積極的に進め、独断的な判断や行動とならないよう、チームでの対応に努めます。
B. 専門性を高め、視野を広げるための努力
- 最新の一流の文献に目を通すと同時に、過去の重要な文献から学ぶことも継続します。
- 専門性にかかわる研修会へ積極的に参加します。
- 関連学会への参加および発表を積極的に行います。
- 学術論文の執筆に努めます。
- 専門以外の文献にも目を通すと同時に、異なる専門性や異なる立場の方々との交流を大切にします。
C. 啓発活動
依頼に応じて、自らの専門性や経験を生かした啓発活動を行います。
D. 自らの健康管理
自分自身をこの地域にとって重要な資源であると認識し、継続した診療が可能になるように、心身の健康を保持するための自己管理に努めます。
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