16. 八島太郎の絵本「からすたろう」

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「ちび」と呼ばれている不思議な男の子。小学校の入学式から教室に入れません。友達もできず、いつも一人ぼっちです。勉強も、ちっともわかりません。それでも、ちびは毎日学校にやってきます。雨の日も、風の日も、嵐の日も、遠くの山道を、一人で黙々と歩いてやってくるのです。6年生になって、いそべ先生が担任になりました。そこから、ずっと一人ぼっちだったちびの毎日が変わりはじめます…

作者の八島太郎は、1908年に鹿児島に生まれました。東京美術学校(現東京藝術大学)を中退、プロレタリア作家として活動しますが、当時の政府から弾圧を受け米国に渡ります。

戦後の1955年に発表された「からすたろう」は、1956年に米国最高の絵本賞であるコルデコット賞の次席に選ばれました。

八島の作品は、そのほとんどが米国で発表されたためテキストは英語で書かれました。しかし、その舞台となっているのは八島の故郷、鹿児島の風景です。

1972年には、フランスのデヴュ国際美術展でグランプリを受賞。その独自の世界が国際的に認められました。

「からすたろう」は、今では八島自身が手掛けた日本語訳で読むことができます。もちろん、原版の"Crow Boy"も、今でも手に入ります。

たくさんの方に手に取っていただきたい作品です。

函館で発達にかかわる診療をしている医師です。

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