51. 高い山は広い裾野を必要とする

スポーツや楽器演奏などのような一定のトレーニングを必要とする分野では、レベルの高さはその分野の人口規模に強い影響を受けます。たとえばチェスでは、国ごとのプレーヤーの数とタイトル保持者の数との間に高い相関があることが知られ…

45. 私たちの療育が目指すもの

従来から、発達障がい、特に自閉症スペクトラムについては、早期診断・早期療育の重要性が強調されてきました。ここ最近は、欧米を中心に早期療育の効果が科学的な論文として次々に発表されるようになり、早期診断・早期療育への関心が以…

41. できる?できない?

発達診療を利用する子どもたちは、状況や場面によって「できたりできなかったり」の差が大きいことがよくあります。たとえば、家では当たり前にできることが外に出るとできなかったり、反対に家では決してやらないけれど外に出ると普通に…

39. なぜ「わすれた」って言うの?

私の診療で保護者の方や学校の先生方からよくある質問の一つは、「この子、すぐ『わすれた』って言うんです。でも、よく聞いてみるとちゃんと覚えてたりするんです。なんでウソをつくんでしょう?」というものです。私自身も、お子さんに…

38. 「好きなこと」を大切にしてもらえる体験

みなさんには「好きなこと」がありますか?一言で「好きなこと」といっても、趣味であったり、仕事であったり、何気ない日常的な習慣であったりと様々なものがあるでしょう。中には、ちょっと人には言いにくい…というものもあるかもしれ…

36. 子どもにオキシトシンのことをきかれたら

オキシトシンに関する報道が相次いでいるなか、子どもたちもそれと無縁ではいられません。先日、あるお母さんから電話がありました。自閉症のお子さんが、オキシトシンに関するニュースをインターネットで見て「鼻から薬を入れると、自閉…

34. 「配慮」が「不公平」になるとき

ある集団の中に「配慮」の必要な人がいる場合、周囲の人たちから「不公平だ」と文句が出ることがあります。このような状況に対応しなければならないのは、たいていは指導的な立場であったり、グループのリーダーやマネージャーといった立…

33. 「人権」について考えたこと

発達診療をしていると、自分が深く考えて来なかったことに気づかされ、考えさせられることがよくあります。その一つは、「人権」です。 私も、人権という言葉については中学校や高校でも教わりましたし、非常に身近で日常的な概念として…